今回のサイバドール・メイのイラストの制作過程を解説してみました、何かのご参考になれば幸いです。
1.私がイラストを描くときに良くやる方法としてまず、自分のイメージした構図に近い見本を探す事から始めます、今回は、顔のうつむき加減、右手の位置がイメージ通りだったので、コンビニで買い物をしたときに品物と一緒に入っていたチラシの写真を選びました、これをスキャナーで取り込み(957X1608pixel)、下絵とします。
2.下絵の画像をPainterで開き、トレーシングペーパーの機能を使って下絵の写真を参考にして大まかなスケッチを描いていきます、このとき使ったのはシャープペンシル、色は黒です。
フリルなどの細かい描写はまだ描いていません。
同時にイメージの参考としてパスを使ってUSBケーブル、ガマグチ、手に持っている耳かきの柄と綿の円のアタリも描いておきます。
3.スケッチが完成したら本番画像の大きさに拡大(3000x4428pixel)、2.で描いたスケッチをクローン化し画像を削除、トレーシングペーパーの機能を使ってあらためてトレスしていきます。
使ったのはスムースインクペン、色は黒です、丸いガマグチの輪郭とUSBケーブルの曲線、耳かきの柄の直線部分のみパスで描いています。
4.トレスが完成したら、画面全体をフローター化(レイヤー化)し、フローターの合成方法を乗算にします、これで白の部分は透明になるので、ちょうどトレス線だけのセル画と同じ状態になります。このフローターの下に必要な数だけ透明レイヤーを作成し、色別に塗り分けていきます。
使ったブラシは透明ブラシのペン、べた塗りです。
今回は着色用に7枚の透明レイヤーを必要としました、下の画像がその色分けです。
(白の塗りを見分けるため、背景に色を付けています)
※全部のレイヤーを重ねてみたもの、本当にアニメ絵ですね、あるいは現代の浮世絵とも言えるかも。
5.塗り分けが出来たら、今度は通常のブラシを使ってハイライト、シャドウを塗っていきます。
透明レイヤーで塗られたものは、通常のブラシを使うと塗られた箇所以上にはみ出すことがありません(マスク効果が有効なため)、はみ出す事を心配しなくても良いので、のびのびと描いていく事が出来ます、使ったブラシはエアブラシ、初めは広く薄く、少しずつ小さく濃い色を着けていきます。
6.これがタッチを着けた画像、これだけでも完成と言えるのですが、今回はもうひと工夫してアメリカン・コミックのタッチを手本にさらに線を書き込む事にしました。
色を塗りおえた絵の上から新たに線を書き足すというのは、実際の紙での作業なら結構勇気がいるのですが、CGならばそのような事にも臆せずチャレンジする事が出来ます。
透明レイヤーをもう一つ作成、今度は線画の上にのせ、フリーハンドで線を描いていきます。
ちなみにこれが線を新たに補完したもの、初めのトレス画と見比べてみてください。
7.補完した線画を加えた完成画像。
8.背景をあれこれ考えたのですが、結局シンプルなグラデーションを敷く事に決定、
さらに1周年記念の文字を追加します、文字は「表面テクスチャの適用」を使い立体化した後、
「陰影を作成」コマンドで絵に影を落とした感じに仕上げます。
以上でイラスト作成の説明を終わります、自分で言うのも何ですが、ひょっとしたらあまり良い説明にならなかったのではと感じています、実際いかにもCGらしいフィルタ−や派手な特殊効果は使っていませんから。
私の場合、CGより手書きの期間の方が長かったので、パソコンを使っても以前のノウハウをそのままシミュレートしているのかも知れません、ですがやはり、やり直しが何度でも出来る、マスクが簡単などの理由でパソコンでの絵描きは実際の手塗りよりもずっと表現の幅を広げてくれると思っています。
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